2025/07/04
こんにちは、medeluのばしこです。
紫陽花が見ごろな6月中旬。
東京都内にあるこども園の園児さんと一緒に、花を飾り、心を育む体験のボランティア活動にmedeluスタッフで取り組みました。
はじめてのお花体験から、こどもたちに教えてもらえたこと、私たちがつないでいきたいことを今回リポートさせていただきます。
社会が急速にデジタル化していくなかで、植物の小さな変化や、自然にふれる機会がどんどん減ってきていると感じています。
年齢を重ねるにつれて、そうした自然とのふれあいの時間はますます少なくなってしまいます。
だからこそ今回、花を飾ること・花を愛でることで「ありがとう」「だいすきだよ」といった思いやりの気持ちや、やさしさを感じてもらいたい。そんな想いから、こども園さんにご協力いただき、この花育の時間を企画しました。
いつかこどもたちが大人になったときに、今日の時間を思い出して、花をそっと飾ってみたくなる、誰かに花を渡したくなるような、そんなやさしい記憶として心に残ってくれたら嬉しいです。
花を飾る際に必要なのは、フラワーベース。ということで、リサイクル素材で作れて家でも洗えて、作る工程を覚えたら自分でも何度でも作れるものを。と考えてペットボトルでフラワーベース作りを行いました。
今回は、福岡県からたくさんのお花を送っていただきました。
こどもたちには「このお花は福岡県というところからやってきたんだよ」と、自分たちが住んでいる場所とは違う地域から届いたこと、お花は長旅を終えてみんなに会いに来たということを伝えました。
使用したお花の中には、花びらに少し傷があったり、元気がないように見えるものも含まれていました。商品としては扱われない、いわば規格外と呼ばれているお花たちです。
でも、傷があっても、咲いている姿はとても美しく、飾ることでその美しさがよりいっそう引き立ちます。
そんなお花の持つありのままの美しさを伝えたいという思いから、今回の花育で使用させていただきました。
自分の花瓶にお水を入れてからスタートです!
お花の茎をハサミで切って、自分のフラワーベースに好きなように飾っていきます。
花と真剣に向き合っている姿はとても印象的でした。みんな上手にハサミを使って好きなお花を飾っていきます。
みんな思い思いに花を飾り、「いいのができた!」や、「このブルーベリーは食べれるかな?」「この色はお母さんが好きな色」など楽しそうに飾っていました。
飾り終わった後は、みんなの作品を見て回り、自分とは違ったみんなの個性を楽しみました。
最後には、みんなが手をあげて、今日の感想やお友達の作品を見た気持ちを、ひとりひとりの言葉で伝えてくれました。
「お花を入れるのが楽しかった」「お友達のを見てきれいだなって思った」「お花と花瓶がぴったりでよかった」「全部が楽しかった!」など、思い思いの声がたくさんあがり、とてもあたたかく、心がじんわりするような時間になりました。
今回、ほとんどの子どもたちにとって「切り花を飾る」というのは初めての体験だったと思います。
それでも全員が、それぞれの感性で上手に花を飾っていて、その姿にとても驚かされました。
改めて、花を飾ることに「正解」はないのだと、子どもたちが教えてくれた気がします。
活動中には、「ひまわりって、真ん中が黒くないのもあるの?」といった素直な疑問や、
「これ、お花なの?」とクルクマに興味津々の声も聞こえてきました。
「福岡県にある糸島(いとしま)というところから届いたお花なんだよ」と伝えると、不思議そうな顔でじっと見つめていた姿も印象的でした。
クルクマとアジサイには動物の名前が入っていたので、こどもたちにとっては、花の名前を覚えやすいことにも気づきました。
お花を飾り終えると、子どもたちはそれぞれの記憶をたどるように、お花にまつわる思い出を話してくれました。
「こないだ、お母さんのお誕生日にお花をあげたよ」
「家で野菜やお花を育ててるんだ」
そんな言葉からは、花が暮らしの中であたたかく存在していることが伝わってきました。
素直に花と向き合い、楽しむ子どもたちの姿に、大人の私たちこそ学ぶことがたくさんあると感じた時間でした。
後日、こどもたちが自宅に持ち帰った後の様子を先生からうかがうことができました。
ある男の子は、美しさへのこだわりが強い子で、持ち帰ったお花を「どこに飾ろうか」と真剣に悩んでいたそうです。
リビングだと、お醤油やふりかけが並んでいてお花が目立たない。
でも玄関だと、目にする回数が少なくなってしまう……。
悩んだ末に、自分でリビングの調味料を移動して、お花が主役になるように飾ったそうです。満足げな様子だったと伺い、とても嬉しくなりました。
また、ある双子の兄妹は、それぞれが作った花瓶を家に持ち帰り、毎日ふたりで茎を少しずつ切って水を替えながら、大切にお花を育ててくれたそうです。茎が短くなるまで、ずっと愛でてくれたという感想もいただきました。
今回、おうちに帰ってからも家族と一緒にお花を楽しめるように、「おはなとなかよしbook」という冊子をご用意しました。
花を飾って終わりではなく、家に帰ってからがお花を愛でる日のスタート。
この体験が、子どもたちの中に「花を愛でる豊かさ」として、そっと根づいてくれたら嬉しいです。
花とふれあうやさしい時間が、子どもたちの未来にそっと残っていくように。
花を愛でる豊かさを次の世代へつなぐため、これからも小さな活動を大切に続けていきます。