2026/03/06
こんにちは! medeluのフラワーデザインを監修している古賀です。 お花を愛でるみなさんに産地のことをもっと知ってもらいたくて記事を書いています。
私たちが普段手に取る花々を育てている人々に直接会って、生産にかける想いを聴く。その内容を全3回に分けてお伝えしていきます。
今回は、福岡県久留米市北野町で多品目の花作りをされている、秋山花園の秋山洋三さんにお話しをうかがってきました。
以前訪問した際の記事はこちら
次世代に繋げていく、季節の移ろいに合わせた花作り
秋山さんには、幼いころの忘れられない記憶があります。
父と一緒に空港近くにある福岡の花市場へ出荷に行った帰り道。
ジュースを買ってもらい、飛行機を間近に見ながら帰る時間。
あの時間が楽しかった。
「たぶんあのころから、継ぐ覚悟はあったんだと思います」
父が一代で築き始めた花農家の道。その仕事に興味を持ち、農業高校へ進学したのも、自然な流れだったのかもしれません。
けれど卒業後は、あえて農業とは違う専門学校へ。そして物流会社へ就職します。
経理として5年間。
数字と向き合う日々。
そして25歳のころ、決心しました。
家業に戻ろう、と。
少し時間は戻りますが、秋山花園の花づくりは父の一念発起から始まりました。
もともとはサラリーマンだったお父様。
けれどある日、会社員という道を離れ、花の生産に挑戦することを決めます。
最初に選んだのは、輪菊。
菊の産地で有名な福岡県八女市で研修を受け、一から花づくりを学び、生産をスタートさせました。
けれど数年後、転機が訪れます。
菊は消毒の回数が多い作物。その作業に疑問を抱くようになったのです。
消毒するという事は環境への負荷や働く人への健康の配慮など負担が大きい。
「もっと、違う花をやってみよう」
そうしてスイトピー、テッポウユリ、ラクスパーへと品目を広げていきました。
実家に戻ってすぐ、目にした光景に衝撃を受けます。
「スイトピーが半分枯れている」
それは同じ土地で同じ作物を作り続けたことによる連作障害でした。
収穫量は半減。
ショックでした。
けれど、秋山さんは立ち止まりません。
近所でトルコキキョウを生産している農家を訪ね、栽培を学び、自らも挑戦を始めます。
すでに取り組んでいたブプレリウムに加え、新たな生産の柱をつくる。
そこから、“多品目経営”の道が本格的に始まりました。
ブプレリウム、トルコキキョウ、アストランチア。
主力品目を育てながら、ハウスの設営状況も見直しました。
連棟ハウスから、台風の被害を受けにくい単棟ハウスへと変更。
3〜4年かけて、経営は安定していきます。
多品目経営を行うのには理由があります。
ひとつの品目が失敗しても、
相場が下がっても、
流行でなくなっても、
他の花で支えることができる。
一般企業の経理に勤めて身に付けた数字を見る力。
リスクを分散させる視点。
会社員時代の5年間は、確かにここに活きていました。
経営が整って基盤が安定したとき、始まったのは「花との対話」でした。
売れるかどうかだけではない。
効率だけでもない。
「自分は、この花が好きだ」
そんな気持ちを大切にできる余白が、ようやく生まれたのです。
次回は、
秋山さんの独自の生産と、多品目という挑戦の奥にある想いをお届けします。
つづく。
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