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次世代に繋げていく、季節の移ろいに合わせた花作り

お花を生産する人を訪ねて 2022.07.20

福岡県久留米市にある秋山花園にお伺いさせていただきました。
親子二代にわたりお花の栽培に力を入れおり、先代は菊を主に栽培されていましたが二代目の秋山 洋三さんはトルコ桔梗や新鉄砲ユリ、アストランティア、ブプレウルムなど季節に合ったお花を主に生産されています。

広大な筑後平野に悠々と流れる筑後川、東西に連なる美しく聳える耳納連山の麓にある久留米市は、豊かな土壌と気象条件に恵まれ、お花の栽培にとっても良い環境です。

秋山さんは一目でお花に愛がある生産者さんと分かるほど、サンリッチひまわりがワンポイントの素敵なマスクをつけられてた爽やかな方でした。

小花の個性を楽しむ

出迎えてくれたのはブーケではおなじみのケイトウです。
身近だとブーケや園芸用などで見たことありましたが、切り花のケイトウの背の高さに驚かされました。

medeluスタッフ「この品種あまりお花屋さんでは見かけないですね」
秋山さん「うちはリバイバル品種が多いんですよ」と教えてくださりました。
思わず触りたくなるようなフワッとしたフォルムがとても可愛らしいケイトウです。

こちらは花束で馴染みのあるアストランティア。
星屑が散りばめられたような花姿が特徴のお花です。
切り花で見るときの優しい印象とは少し違く、シャキッと茎もしっかりとしていて力強く花を咲かせていました。

アストランティアの可愛さにうっとりした気持ちで眺めていると、アストランティアの土からローズマリーが顔を覗かせていました。

medeluスタッフ「アストランティアの土からなぜローズマリーが出ているのですか?」
秋山さん「お試しで違う品種の種を育てて成長を確認しているんだよ」と教えてくれました。

なるほど。。
ローズマリーの力強さが分かるほど、元気よく自然体のままの成長をしていました。

ユーカリの種はフライパンで

秋山さんはユーカリも栽培されていらっしゃいます。
触るとユーカリ特有の香りがして、とても癒されました。
ユーカリはリースやスワッグ、ドライフラワーにも人気の高い植物です。

秋山さん「ユーカリは発芽させるためにフライパンで種を煎ってから植えます」
medeluスタッフ「え、フライパンですか?」

ユーカリは主にオーストラリアに分布されている植物です。
オーストラリアは気候が乾燥しており、山火事が頻繁に起こります。ユーカリの種は山火事を経験した後の降雨により発芽するといわれているそうなので、フライパンで煎るのも納得です。

最近では世界情勢の影響やドライフラワーブームで、オーストラリア種の入荷が厳しいそうです。

こちらは、ブーケでもお馴染みのクラスペディア。
力強く空に向かって伸び伸びと育っています。
こんなに丸くて大きいクラスペディアを見たのは初めてでした。
英名でドラムスティックとも呼ばれてるほど球状の花はコロンと可愛く、ドラムを叩くバチに似ています。

クラスペディアはドライフラワーとしても長く愛用できるお花です。
ドライフラワーにして数輪飾ったらインテリアにもなるので、お部屋がおしゃれに彩る空間に想像が膨らみました。

秋山さんは今まで輸入がメインだったユーカリやアストランティア、クラスペディアなどドライフラワーで楽しめるお花を国産で作る取り組みをされています。

国産のお花は鮮度がよく、丁寧に作られているので花持ちが良いのが特徴です。
ドライフラワーになる花も、国産のお花を手に取る機会が増えてくれたら嬉しいです。

自然環境に合わせた栽培


ここら辺一帯は10年くらい前から、ここ5年ほど毎年八月になると線状降水帯地域で大雨により水没しているとのことでした。
菊やガーベラの花などは水に浸かったら最後。
浸かってしまったお花は汚れたり、枯れたりしてしまうため出荷ができず、片付けなどがとても大変だそうです。

秋山さん「初めて浸かった時はまさか浸かるとは・・と驚きました。今年だけと思ったら毎年、大雨が続いています。」
medeluスタッフ「ニュースなどでも拝見しました、とても大変でしたね。」

秋山さん「自然が相手なので計画通りに行かないこともたくさんありますが、7、8月は出荷はしないように計画を毎年立てています。」
と教えていただきました、今年も被害が少ないことを祈るばかりです。

大雨被害の自然災害は近年増加傾向にあります。
その中でも自然と向き合いながら、計画的に栽培を進められているというお話をお伺いしてとても理解が深まりました。

また、連作障害を防ぐために夏に土壌洗浄を行います。
連作障害とは、同じ土地に同じ作物を連続して栽培することを連作といいます。
作物は育ちづらくなり、病気がでやすくなったり枯れたりすることを連作障害といいます。

ですが、雨が降ると土壌洗浄した効果が薄くなってしまったり、栽培するのに時間がかかってしまいます。
栽培の計画はたてているので苗はできあがっているので、毎年雨が降った後の栽培は苦労されているそうです。

medeluスタッフ「自然を相手にしているとどの季節が一番安心してお花を作れますか?」

秋山さん「自然相手だと、7月~8月雨が大変だし、春と秋は虫が大変活発に動き回るので、葉などの被害も受けやすく、冬場になるとハウスをしめるので湿度があがり病気にかかりやすいです」

medeluスタッフ「安心できる時期はなく春夏秋冬、自然と向き合っているのですね」

春夏秋冬の自然相手に幾つもの試練が立ち塞がっても、いつも自然と向き合い、丁寧に栽培されているから美しいお花が出来上がるのだと感じました。

秋山さんの想い

次の世代でも作れる、自然や季節に合わせた花作りをしたい。
三代目の子供たちが未来に継いでくれるか分からないけど、次世代に環境の負荷をかけない花の栽培方法を残していきたいと熱く語ってくださいました。

medeluスタッフ「お花を愛でる人へメッセージはありますか?」

秋山さん「ちょっとした機会でいいので、よく目につく玄関、リビングなどお花を見る機会を増やしてお花を手に取る機会が増えてくれると有難いです。」

一輪の花が出来るまでの過程を知ることで、お花を見る機会、知る機会を増やしていければいいなと思います。
秋山さんは今度花園の見学もいいですよと優しくおっしゃっていただきました。

近年の異常気象の中で、美しい花を咲かせるまでとても苦労されているかと思います。
私たちがお花を愛でるまでに、生産者さんは様々な自然環境と共存しながらお花を育ててらっしゃると改めて感じさせられました。

花を愛でれた時の温かい気持ちが、花にも生産者さんにも伝わればよいな思います。

この産地レポートをきっかけに、生産者さんへの応援やお花の楽しみ方の変わるきっかけになっていただければ嬉しいです。


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